載殊亭・改

創作文芸サークル「載殊亭」の新生ページです。

刀と少女の物語

これは99%の力と1%の可能性の物語である。



キャラクター


<イチ(いち)>
 女性、年齢15歳前後。
 ずば抜けた剣術センスを持っており、彼女の持つ武器「九十九」と共に何でも屋「MOMO(百)」を営む。

 元帝国軍の技術により生み出された人造人間であり、運動能力の強化(例:筋肉細胞が通常のヒトのそれとは異なる)や超短時間先の未来予知(現在から5秒先とか)など様々な能力を有している。
 彼女の名前「イチ」とは、帝国軍で開発されていた対人用人型兵器のプロトタイプシリーズ「一型(いちがた)」に由来。
 命名者は彼女を養育、指導していた女性研究者だが、きちんとした名づけるまでの仮の名前ということで彼女を「イチ」と呼んでいた。

 今でこそ銃器での攻撃をやすやすとかわす程の優れた運動・戦闘能力の持ち主だが、生まれながらに盲目・ろう人である。そのため、幼い頃研究所で殺処分されそうになっていたところを、先述の女性研究者に潜在能力の高さを見出され、以降その人に保護・養育されることとなる。
 彼女に欠落している視覚・聴覚は、彼女が持つ武器「九十九」が補っている(後述)。

 普段人と接する際はツンとした印象を受けるが、本来は明るく素直な性格。武器である九十九とは、口論しながらもかけがえの無い友達だと本人は考えている。
 北海道、海沿いの牧場で育ち、将来は牛飼いになりたいと密かに思っている。


<九十九(つくも)>
 武器。外見は黒い刀身の日本刀。製造年数10年(人格の設定年齢は20代後半~30代前半)
 少女イチと共に何でも屋「MOMO(百)」を営む。
 武器なので性別はないが、イチと会話する際に使用する音声は男性のものである。これは、九十九の開発者である女性研究員が、九十九に会話機能をつける際、手近にいた男性の声をサンプリングしたからである。

 帝国軍で開発されていた人型兵器専用の「考える」武器。
 その正体は、剣型スーパーコンピューターであり、刀身は拡大すると微細な光回路がびっしりと刻み込まれている。
 接触した対象物の構造を即時に「分析・理解」し、「分解」するための方程式を組み立て実行する(分子配列を変えてしまう)。そのため、理論上切れない物はないということになる。
但し、能力を発揮するためには使用者の脳とリンクしてその計算を補助する必要がある。そのため、 計算量が膨大になり過ぎると、使用者の脳に障害が残り最悪の場合死に至る。
 開発コードは「99式思考型分解機」。帝国軍はより安全で誰でも使用可能である量産型の開発を進めていたが、それが実現することはなかった。

 本来ただの武器だったが、イチを育てている女性研究者が「考える武器」というコンセプトに着目し、それを更に発展させて自立意思を持たせた。
 また、分析範囲を直接接触した物体のみならず、「九十九」を中心としたある一定範囲にまで広げて、それを視覚・聴覚情報に変換して使用者の脳に送信できるように改造した。
 それは、視覚・聴覚を持たず外部との接触方法がないイチのために、視覚・聴覚を与えると共に、養育プログラム(人格)を組み込むことにより、イチを「一人前の人間」として育てようという狙いがあったからである。

 「九十九」という名前は、イチが言葉を覚えて間もない頃に彼女がつけたものである。
 その理由は、「番号はキライ」だから。当時彼女は、研究所から自分が物の様に扱われることに辟易し、その象徴ともいうべき識別番号(研究者らが自分達を呼ぶ時に使う)を使うのを嫌がったためである。

 元は養育用プログラムのため、人間の大人みたいな理論的な思考をし、時折突っ走り気味になりがちなイチを嗜めることも多い。
 ただ、人工知能にありがちな合理的な思考だけに留まらず、人間の持ち合わせる矛盾した感情を受け入れるだけの余裕や好奇心の強さも持ち合わせている。
 よくイチに説教をするので、彼女には「理屈屋」と言われ口論になるのだが、自分のことを「友達」と認めてくれている彼女には特別な思い入れがある。
 改造を受けた自分に対し、他の武器とは違うのだというプライドの高さを覗かせる場面もある。
 イチ曰く、爺むさいらしい。




ストーリー


 帝国軍の兵器として成長していた彼女だったが、帝国軍崩壊とほぼ時期を同じくして突如彼女の育ての親である女性研究者が失踪する。
イチは、彼女の手がかりを見つけるため、何でも屋をすることで情報収集をしていた。
 やがて、元帝国軍の残党や世界政府から狙われるようになる彼女は、それらを撃退しつつ、世界の真実に迫ることとなる。




一場面


 何者かの手により、それまで暮らしていた家に火を放たれたイチ。激しく炎上し崩れていく家を見つめ、ただそこに立ちすくむ彼女。両手でしっかりと九十九を抱えている。
 イチ、自分を育ててくれた女性研究者との日々を思い出す。記憶の最後には、女性研究者の困ったような顔と次の言葉。
 『貴女に相応しい名前を、今度つけてあげる』

イチ「……嘘つき。約束は守るって言っていたじゃない」

 九十九、しばし沈黙した後彼女に声をかける。

九十九「イチ。これから私達はどうしていきましょうか。あぁ、貴女のことを今『イチ』と言いましたが、今後私はどのようにして貴女を呼べば良いのでしょうか?」

 イチ、その言葉に腕の中の九十九を見つめると、やがてふっと笑った。

イチ「今まで通り『イチ』でいいよ。ううん、『イチ』がいい。
   九十九、あんたが99(つくも)で、私が1(いち)。合わせて初めて100%、一人前よ。
   ……九十九、これからも二人一緒にいようね。約束だよ」
九十九「はい。これからもどうか末永くよろしくお願いします」

 二人、そのまま家が焼け落ちていくのを見つめていた。

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